日本生まれのOS トロン


 まず、タイトルを見て驚かれる方もあるかも知れません。そんな物が存在するのか、と。
 まず一応名前は知っているであろうこの「OS」について少し説明をしたいと思います。

 そもそもOSとは、「オペレーション・システム」の略であることはよくご存知だと思います。またの名を「基本ソフト」とも言います。これはその名の通り、「コンピュータを動かすに当たって、その操作を人間に代わって行うプログラム」のことです。


 現在最も有名なOSは、マイクロソフト社製の「Windows(以下ウインドウズと呼ぶ)」シリーズです。他にもアップル社製の「Mac OS」と言うのもありますが、こちらは同社製パソコン「マッキントッシュ」専用のOSになっています。要するにOSというのは、コンピュータを使うときに一番重要なプログラム、ということです。

 さて、これでどんなにコンピュータ音痴の方でも、OSという物について、認識程度は出来たことと思います。
 ここから純国産OSであるトロンについて説明していきます。まずその生い立ちから。

 時は1980年代初期、当時東京大学で助手を務めていた坂村健氏が開発リーダーとなり、1984年、公的に「TORONプロジェクト」を立ち上げて開発が進められ、発展を遂げていきます。

 TORONの開発が始まったきっかけの1つは、坂本氏も述べていますが「1980年代に起こったマイクロエレクトロニクス界の躍動」、「次々に発展を遂げていく技術革新」でした。本当に自分で物を作ること、それに目を向けたのが始まりだったわけです。つまり、初めから「商用目的」での開発ではなかったのです。

 さて、TORONがこうしたいきさつで開発され、確たる存在になっていくのですが、ここで一つ誤解を招くのを防ぐために説明しておきます。私はタイトルで「OS トロン」と書きましたが、実際には「OS」そのものではなく、「OSを作るための基準」なのです。ですから、トロン仕様で作られた物同士は完全に互換性があるのです。


 では次に、今どのような物にこの「トロン」が使われているのかを紹介しましょう。まず皆さんにもかなり身近な存在、「携帯電話」です。
 現在日本で販売されている殆どの携帯電話は、この「トロン」を元にしたOSを搭載しています。OSとは何もパソコンのみに使われている物ではありません。それに、近年の携帯電話は、それ一つで「小パソコン」とも呼べるような性能を有しているのです。それを管理・運営するにはOSは必要不可欠なのです。

 では、なぜ携帯電話のOSはトロンなのでしょうか?実は他の製品にも言えることですが、このトロンが使われている製品は「絶対止まってもらっちゃ困る」物ばかりなのです。つまり、安定性がものすごく優れていると言うことです。

 他にも、トロンはセキュリティ面でもかなり優れています。この特徴が何に生きるかというと「インターネット家電」なのです。最近、「インターネットから情報を取り込んで動作する」レンジや冷蔵庫などの家電製品が発売されました。身近なところでインターネットを使うようになったわけですが、危険なのは「悪質なネット犯罪」です。もしインターネットから家電製品に危害を及ぼすようなウイルスが入ってきたら、その家電製品は最悪、破壊されてしまうかも知れません。このような状況を想定し、トロンには特殊なセキュリティ管理システムが使われています。

 さて、ここでお待ちかね!のパソコン用OSについて説明しようと思います。
 パソコン用のTORON仕様を「B−TORON」といいます。しかし、何故今まで殆ど表舞台に出て来れなかったのかというと、そこにアメリカが絡んでくるのです。少しその悲劇と結末を。

 パソコン用OSを作る為の規格であるB−TORON。かつて、それを日本政府が教育用コンピュータのOSに採用しようとしました。しかし、アメリカ通商代表部(以下USTRと略)が「潜在的・実質的に市場に介入する」という妄言でもって、B−TORONを完全にアメリカの国内法である「スーパー301条」に登録。これによりB−TORONは市場に出ることを許されなくなってしまったのです。

 しかし、後年「何処のどの企業でも自由にトロンOSを作ることが可能」ということで、USTRは当初の主張の不当性を認め、スーパー301条の登録を解除したのです。これによりB−TORONは大手を振って市場に出回ることが出来るようになったのです。

 しかし、時期が遅すぎました。B−TORONが封印状態にあった間にマイクロソフト社製のウインドウズが市場を席巻してしまったのです。勝負の世界は厳しいものです。戦略と運のあるところが勝つ、と言うことなのでしょう。
 さて、事の結末は上に書いたとおりですが、一体どの辺がウインドウズを越えているのでしょうか。

 まず、その安定性。ウインドウズでは、「ブルースクリーン」と呼ばれる画面が表示されると、まず間違いなくパソコンは不安定状態となり、復旧するのは絶望的と言われています。しかし、B−TORONにはそんな状態はないのです。

 次にセキュリティ。これは上で説明しているのでいいでしょう。
 さらに扱える文字数。ウインドウズでは最大3万字なのに対し、B−TORONでは何と最大150万字もあるのです。
 このB−TORONを元に作られたのがパーソナル・メディアという会社から出ている「超漢字」というパソコン(ワークステーション)向けOSです。B−TORONの持てる性能を最大限に発揮しているOSと言えるでしょう。
 ちなみにこの「超漢字」は、ウインドウズが導入されているシステムでも共存が可能だそうです。また、マッキントッシュでも、別途ソフトが必要ですが共存は可能だそうです。但し、機能的制限が多少付くそうですが。

 さらに開発元から手元のパソコンが超漢字に対応しているかどうか調べられるプログラムを配布しているので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか?



結論


 日本で産声を上げたTORONが、世界に羽ばたける日も近い。現に様々なマイクロチップにTORONが組み込まれ、安定に動作する様を世界中に見せつけているのだ。
 ウインドウズシリーズの弱点の一つに起動時間があるが、超漢字十数秒で使用可能になると言う。その差ははっきり言って天と地の差である。
 ウインドウズは、いわばVHSと同じような存在だ。対するTORONはベータのような存在だと言える。VHSは、販売戦略でベータを市場から駆逐した。願わくばTORONがベータの二の舞にならないことを・・・

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参考までに

トロンプロジェクト公式サイト

パーソナル・メディア
(超漢字開発・販売元)